従業員のモチベーションが上がる働き方改革とは
「従業員のモチベーションが低い!」こんな悩みをお持ちの管理職の方も多いのではないでしょうか。
従業員のモチベーションをあげるということは、人の気持ちを動かすということであり、一見なかなか難しい課題だと見受けられます。
しかし、従業員のモチベーションが低いままだと、その従業員だけでなく職場全体の雰囲気を悪くしてしまう可能性があります。職場の雰囲気は悪くなってしまうと色々な場面で悪影響を及ぼし、悪循環が生じてしまいます。
働き方改革成功のために必要な「従業員のモチベーション管理」
働き方改革が打ち出された背景には、日本の労働の主力なる人口(15~64歳)が年々減少し続けているということが挙げられます。
想定以上のペースで減少し続けているので、このままでは数十年後の社会は非常に不安定な状況へとなりかねません。
こういった背景をもとに、内閣が本格的に働き方改革に乗り出したのです。
働き方改革のひとつとして従業員を増やすことに取り組んでいる企業が増えています。ただ増やすだけではなく、従業員のモチベーション管理が重要な鍵と言われています。
働きやすさや仕事のやりがいが従業員のモチベーションに繋がる
従業員のモチベーションをあげるためには、働きやすさが重要な要素となります。
従業員にとって働きやすい環境であると、モチベーションの維持に繋がる傾向にあります。逆を言えば、働きにくい環境の職場であれば必然的に不平や不満が広がってしまいます。そういった不平や不満はモチベーションを低下させる要因になりかねます。
他にも仕事のやりがいを感じるか感じないかでは、差が生じます。
仕事にやりがいを感じなければ「自分は何のためにこの仕事をやっているんだろう」と考え始め、仕事を前向きに取り組むことができなくなります。
さらに、やりがいを感じられなければ他のやりがいがある仕事に転職考え、離職してしまうという可能性が高くなるでしょう。優秀な人材ほどスキルアップのためにやりがいのある仕事への転職を考える傾向にあるため、優秀な人材を逃してしまうというケースも少なくはありません。
このような状況を防ぐために、従業員が仕事に対してやりがいを感じられるシステムを作ることも方法の一つです。
従業員のモチベーションが上がることによって生まれる企業のメリット
従業員の仕事に対してのモチベーションをあげることによって生まれるメリットは下記のようなことが考えられます。
・ずっとこの会社で働きたいと思う従業員が多くなることで、離職率が低くなる
・主体性を持ち仕事に取り組むため、仕事の質や生産性がアップする
・従業員全体の士気が高まる など
このようなメリットはやがて企業の業績向上にも繋がります。
それほど従業員のモチベーションが企業や仕事に与える影響は大きいものです。
モチベーションは2種類ある
モチベーションと一口に言っても、実はモチベーションは2種類存在します。
従業員のモチベーションを上げるためには、モチベーションの種類を知っておくことでヒントが導き出せます。
内発的モチベーション
内発的モチベーションとは「何かに対する興味を満足させるため」という自分の内側に生まれるモチベーションを意味します。
例えば「楽しむため」「貢献できる人材になるため」「仕事の達成感を得るため」「自己成長を感じるため」といったものが内発的モチベーションに当たります。
外発的モチベーション
外発的モチベーションは外部から来る報酬を意味します。
例えば「給料をもらうため」「褒められるため」「昇進するため」などが外発的モチベーションに当たります。
従業員のモチベーションを上げる方法
それでは、実際に従業員のモチベーションを上げる繋がる方法を紹介します。
人事評価制度や給与規定を明確に
全従業員の給与や賞与を同じにしてしまうと、「頑張っても意味がない」という気持ちが表れます。この気持ちが仕事へのモチベーション低下の原因となります。
このような状況を防ぐためには、人事評価制度を導入することがおすすめです。
人事評価制度は自身の頑張りが給与や賞与へと反映されるので、モチベーションも上がり、社会人としての成長にも繋がります。
他にも、給与規定をうやむやにしている企業も見受けられますが、このような状況であると従業員が会社に対しての不信感が募ります。その不信感がモチベーション低下へと繋がってしまいます。
信頼される企業であるためには、給与規定を明確にすることが大事です。
特に残業代の支払いが明確にされていないと、ブラック企業と疑われてしまう可能性もあります。残業代に関しても規則を明確にし、風通しの良い企業を築くことが第一歩となります。
キャリアパス制度の導入
キャリアパス制度というのは目標となるキャリアから逆算をし、どのようにしてスキルや経験を身に着け、どのようになれば昇進できるのかを明確にする取り組みのことを指します。
その役職に就くまでにどのようなキャリア経験を踏めばよいのかの指標となります。
このキャリアパス制度を導入することで、従業員の行動目標が明確となり、意欲的に励むことができるでしょう。
さらに、キャリアパス制度を導入している企業では、入社前に経験を明示することができるので、採用のミスマッチを減少させる効果があります。ミスマッチを減らすことによって、採用後の定着率が上がります。
資格取得制度の導入
資格取得制度とは、業務に役立つ資格の取得をする際に、費用支援として受験料や交通費、さらに資格取得をした場合には一時金を支給し、資格の取得をサポートする制度です。
資格によっては受験料などで数十万円もかかるものもあります。
この制度を導入することで、従業員は「資格を取ってみよう」と前向きな気持ちになります。従業員にとって、資格を取得することで仕事の幅は広がり、モチベーションも上がります。人材育成にも繋がりますので、企業にとっても大きなメリットとなります。
福利厚生の充実
従業員であれば、福利厚生が手厚い方が嬉しいでしょう。
かつては、終身雇用制度や年功序列制などが一般的とされていましたが、現代ではその制度も少なくなりつつあります。
それに伴って従業員は福利厚生などの待遇やスキルアップのために転職をする人が多くなっています。
しかし、不安定な時代だからこそ福利厚生がしっかりしている企業であれば、不安なく生活をしていくことができます。
その安定感こそが、働き甲斐やモチベーションに繋がるのです。
社内の不満や従業員の不調に気づくために、コミュニケーションを円滑に
従業員のモチベーションの向上のためには、「コミュニケーション」の見直しが必要と言われています。企業の業績を向上させようと思った時に意外と見落とされがちなのが、コミュニケーションを活発化させることです従業員同士のコミュニケーションが活発になることによって、下記に挙げられるメリットが生まれます。
・生産性の向上
・顧客満足度
・従業員満足度向上
・従業員定着率向上
・企業ブランド向上
費用がたくさんかかる制度を導入するのはなかなかできないという企業は、まず社内全体のコミュニケーションを活発化させる取り組みから始めてみてください。
総務・人事担当者は現場の不満に気付きにくいもの
従業員をまとめる総務・人事担当者は、意外と現場のことをよく知らないという場合があります。
なぜかというと、総務・人事担当者は現場の従業員と同じ仕事をしているわけではなく、たくさんの人従業員をまとめるため、なかなか従業員一人ひとりとコミュニケーションをとる機会が少ないからです。
総務・人事担当者が現場の従業員に不安はないと思っていても、実際の現場ではなにか問題がある可能性も考えられます。
社内の制度や福利厚生は総務・人事担当者だけで決めるのではなく、しっかりと現場の従業員の声に耳を傾けることが大事です。
健康面で問題を抱えている場合も
従業員が健康面で問題をかかえているため、仕事のモチベーションが上がらないという可能性も考えられます。
そういった健康面の問題を把握するために役立つのが健康診断制度です。企業規模によってはメンタルヘルスの診断も必須です。
健康診断の実施は企業の義務であり、従業員の健康を配慮することは企業の社会的責任のひとつとなります。
診断後に異常があった場合、申告があれば、従業員に対して配慮を行うことが可能となります。
周りが配慮することによって健康問題を抱えている従業員も仕事をしやすくなり、結果的にモチベーションの向上につながる可能性があるでしょう。
定期的な面談の場を設けることもおすすめ
総務・人事担当者は大勢の従業員をまとめるため、意外とひとりひとりのコミュニケーションをとる機会が少ないです。
そのため、従業員の声を知るために定期的な面談を行うことがおすすめです。
面談の場を設けることで、従業員がそれぞれ抱えている不安や不満に気づくことができます。従業員の意見を取り入れ働きやすい環境に改善することで、働きがいのある会社だと従業員の満足度も上がると考えられます。
しかし、面談を行うためにもいくつかの注意が必要となります。
部下との面談で不安や不満を聞き出すためには「上司が力を貸してくれる」という安心感を与える必要があります。
面談を行う者の話が一方通行になってしまうと部下の本音を聞き出すことができません。面談においてはあくまで部下が主役となりますので、聞き手になることを心掛けてください。
形だけの「働き方改革」は逆効果
働き方改革を行っている企業は近年増加していますが、その中でも“形だけ”になっている企業も少なくはありません。
実はこのような「形だけの働き方改革」を行ってしまうと、逆に従業員のモチベーションを低下させ、逆効果となってしまう可能性があります。
働き方改革を行う場合は、“形だけ”になってしまわないように注意が必要です。
残業時間は減らせば良いのではない
働き方改革として残業時間を減らすことは間違いではありません。
従業員のプライベートを充実させることによって、人生が豊かになり、仕事に対するモチベーションも上がる可能性があります。
しかし、残業時間の減少と伴って給与も減らしてしまうと、生活が苦しくなってしまい、逆に仕事に対するモチベーションが減少してしまう可能性もあります。
従業員は生活するためのお金を稼ぐために仕事をしているということは忘れずに頭に入れておきましょう。
また、残業を禁止にしても持ち帰りで業務を行う従業員がいる可能性もあります。このような場合も不満が募るため、残業を禁止にする前に業務量や仕事のフローの根本的な見直しが必要です。
まとめ
従業員のモチベーションをあげるためには、「従業員がどんな欲求を持っているのか」を理解しましょう。それが理解できれば後はそれに応じた施策を行うことです。
効果的な方法は、従業員の不満を解消し働きやすい環境にするための制度を導入することです。
特に人事評価制度を設けていない企業であれば、行動目標が明確になり導入するだけで従業員のモチベーションが大きく変化することが見込まれます。
しかし、正しい人事評価制度でなければむしろ逆効果になってしまう恐れもあります。人事評価制度を導入する場合は、まずは給与規定を明確にし、どのレベルになったら給与が上がるのかということをはっきりと示すことが効果的です。
費用が発生してしまう制度を導入するのが難しければ、まずできることは積極的に従業員コミュニケーションをとることから始めましょう。人間関係が悪ければ、どんなに制度が充実していたとしても従業員のモチベーションは上がりません。
従業員が不安や不満を相談しやすい関係を築くことが、従業員のモチベーションをあげる近道ではないでしょうか。制度の充実ばかりに目を向けてしまい、意外に忘れられがちなポイントです。
企業を成長させていくには、従業員の力は必要不可欠です。企業の業績を上げるためにはまずは従業員のモチベーションを上げる努力から励んでみて下さい。