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他社はもう始めている!?~健康経営を導入してオフィス環境を改善~

「健康経営」という言葉を聞いたことはありますか。健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視線で考え、実践することを指します。

従業員の活力向上や生産性の向上などの組織への活性化をもたらすことから、近年、健康経営を導入している企業が増加しています。


日本では現在、労働者人口の減少に伴い将来日本経済が不安定になると懸念されています。そんな危機を改善するべく、経済産業省では企業の健康経営を推奨しています。


今回は経済産業省の健康経営オフィスレポートを参考に、従業員の健康と経営の影響、並び、健康経営オフィスについて解説いたします。

(出典:経済産業省 「健康オフィスレポート」)


従業員の健康が企業の経営状態に及ぼす影響

現在、まだまだ「健康経営」の認知度は低いです。背景には、従業員の健康が企業経営にどのような影響を及ぼすかが理解されにくいことも原因のひとつとして考えられます。

日本では労働者人口が減少傾向

労働者人口とは、主に15歳から65歳までの労働する意思と能力を持った層の人口を意味します。労働者人口は働く意思と能力がマッチして実際に働いている人、また働く能力はあるけれど失業中という人も含まれています。

その一方で15歳以上であっても学生や専業主婦、病気で働けない人などは労働者人口に含まれません。


日本の労働者人口は年々と減少傾向にあり、2017年の時点で日本の労働者人口は6,720万人となっています。総務省の調査によると今後の予測では2060年に4,418万人まで減少することが見込まれています。

(出典:総務省「我が国の労働力人口における課題」)


このままいくと、日本経済は将来的に、深刻な人手不足という問題に直面してしまう可能性があります。


健康面に問題がある従業員が増えるリスク

当然、健康面に問題あると様々なリスクが増加します。

企業はそういった従業員により、生産性の低下を招いてしまう恐れがあります。

なんと、従業員が病気欠勤した際に発生する年間の損失額は“3,609億円”と算出されています。

(出典:ACCJ-EBC医療政策白書2015年版


さらに、健康保険料の額を押し上げて保険健康組合や企業の経営を圧迫してしまうことも考えられます。

バブル崩壊後の日本の不況を通じて、人材は企業経営におけるコストである風潮が広がっています。しかし、従業員は人的“資本”であり、決してコスト発生源ではありません。

人的損失リスクというのは想像以上に大きいダメージを企業へ与えうるのです。


健康経営の考え方

近年ではメンタルヘルスやブラック企業といったキーワードが社会問題として取り上げられることが多くなりました。この問題によって、健康管理を企業経営の課題としてとらえる企業が増加しています。

実は、企業が従業員の健康管理について戦略的に取り組むことによって、企業が得られるメリットは多いといえるのではないでしょうか。


健康経営とは

健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、実践することを指します。

企業理念に基づいて従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上など組織への活性化をもたらします。

その結果、企業の業績向上や株価向上につながると期待されています。

さらに、このよう優良な健康経営に取り組む法人を見える化できるような仕組みが作られています。それが健康経営銘柄と健康経営優良法人認定制度というものです。


健康経営銘柄とは優れた健康経営を実施している企業を、東京取引所の上場企業33業種から、経済産業省と東京取引所が各業種につき1社を選定するものを意味します。


健康経営優良法人認定制度は健康経営に取り組む企業等の「見える化」をさらに進めるために作られました。この制度によって、上場企業だけでなく、未上場の企業や医療法人等の法人を健康経営優良法人として認定することができるようになりました。


健康経営導入の企業のメリット

ここで改めて、「健康経営」を導入することのメリットをおさらいしましょう。


・健康を意識する従業員が増え、医療費削減

・欠勤者・求職者が減少し、社内の生産性の向上

・企業イメージの向上

・社内の風通しがよくなる など


働きやすい環境は従業員の定着率が上がる

定着率とは従業員が勤続する率のことであり、離職率の対となる言葉となります。

つまり、離職率は従業員が離職した割合を示すのに対して、定着率は企業に残っている従業員の割合を示します。

労働者人口が減っている現在、定着率を上げることは非常に重要となります。

採用コストが増す一方である現在、離職した人材はどんどん補充していけばいいという考えではない時代となってきているのです。定着率を上げることも、会社の生産性をあげることへと繋がる方法の一つといえるかもしれません。


健康経営オフィスとは

健康を保持・促進する7つの行動

健康の保持、促進のために有効な7つの行動の基本的なポイントをご紹介します。


①快適な環境を作る

姿勢を正す、空気、感触、光、音、香りなどをその場にいる従業員が快適と感じる空間にする

②コミュニケーション積極的にとる

挨拶、笑顔、会話、共同作業など


③休憩や気分転換を行う

飲食、睡眠、深呼吸、好きな音楽を聴くなど


④体を動かす

ウォーキング、ランニング、ストレッチ、健康器具の利用、階段の利用を心掛けるなど


⑤バランスの取れた食事を心掛ける

バランスのとれた野菜中心のメニュー、規則的な食生活、サプリメントの利用など


⑥清潔にする

手洗いうがいの徹底、オフィスの掃除、換気など


⑦自分の健康状態を常に気にする

健康診断の徹底、手洗いうがいの徹底、マスクの着用など


(出典:経済産業省 「健康経営オフィスレポート」)


健康経営オフィスを取り入れている事例とその効果

経済産業省の健康経営オフィスレポートによると、健康オフィスを導入している企業ではプレゼンティーズム(健康問題による生産力の低下)や、アブセンティーズム(病気による欠勤)の解消に結び付いたと発表されています。



つまり、健康オフィスを取り入れている企業は、生産力の低下と原因となる問題が改善につながる可能性があるいうことになります。

プレゼンティーズムとアブセンティーズムが解消され続けることで、企業の生産性向上や、ひいては業績の向上にも期待が持てるのではないでしょうか。


これらのことからも、健康経営オフィスを取り入れることで、実際に企業へ大きなメリットがあることが分かりました。


普及が進む健康経営オフィス

労働者人口の減少が進む日本において健康経営オフィスの取り組みは非常に効果的です。さらに、これからの時代は企業が成長していく上で必須の取り組みになることでしょう。


企業の経営者は、一人ひとりがいきいきと働けるオフィス環境づくりを目指すことが大切です。

また、この取り組みは、優秀な人材を惹きつけ、従業員が企業に定着してもらう上でも重要となります。


オフィスで働く人は、健康的な働き方を心掛けることで仕事の質を向上させ、生活の質も向上させることに繋がるかもしれません。

まずはオフィスでの働き方が自分自身の健康状態に深く影響しているということを理解することが大切です。


経営者、従業員それぞれの健康に対する意識改革がより一層、重要になるといえるのではないでしょうか。


健康経営に適したオフィス空間にする方法

そこで働く人にとってオフィスの環境は従業員に様々な影響を及ぼします。

健康経営を実現するためには、まずはそれに適したオフィス空間を作ることも求められます。


ポイントはストレスが溜まらないオフィスを設計すること

オフィスの空間は業務効率にも影響を与えてしまいます。

少しでも心地良いオフィス環境にしたい場合は、ストレスが溜まらないオフィスを設計することが推奨されています。

ストレスのないオフィスレイアウトにおいて、重要なポイントのひとつがデスクの位置です。デスクの配置の工夫次第で非効率な導線になったり、必要以上に人の視線を感じたり、ストレスを感じ、また集中力の妨げになる可能性があるためです。


集中力に関しては、音への配慮も大事です。オフィス内の騒音発生機器、外部からの騒音が大きかったりすると気が散ってしまい、仕事に集中ができない可能性があります。

できるだけストレスが溜まらないように配慮したオフィスづくりをしましょう。


パーソナルスペースを適切な広さにする

仕事を快適に行うためには、パーソナルスペースの確保も重要なポイントのひとつ。

パーソナルスペースを上手く確保できていないと、ストレスが溜まり、それによって仕事の効率が悪くなってしまう可能性もあります。

一般的な仕事におけるパーソナルスペースの適切な範囲は、約1m以上3m以内の距離といわれています。隣のデスクの従業員との距離が近すぎることで、ストレスになるなどといったことのないよう、パーソナルスペースを確保したレイアウトや環境づくりが大切です。


しかしながら、多くの企業では従業員一人に確保できるパーソナルスペースの広さは限られてしまいます。

ストレスの原因となる人との距離を適切に保つ方法として、席を自由にするフリーアドレス、フリーデスクといった制度や、共用の個室環境を取り入れることも有効なひとつの手段考えられます。


椅子は疲れないものを選ぶ

デスクワークでは一日のほとんどの時間を椅子に座って過ごします。

長時間過ごす場所だからこそ、椅子は快適なものを選ぶ必要があります。


安い椅子は、座面が小さい、クッション性が薄い、背もたれが動かないなど、長時間座り続けるには難しいものとなっています。疲れやすい椅子に長時間座っているとストレスや腰痛、身体の不調の原因にもなります。


そんな問題を解決する、疲れにくい椅子の選び方のポイントは次の通りです。


・椅子の横幅がデスク下に収まるもの

・背もたれができるだけ四腰椎(ベルトの付近)のあたりをしっかりと支えるような構造になっているもの

・ひじ掛けがあるもの

・上下調節機構がついているもの


椅子を選ぶ際は、まずこのポイントをチェックしてみましょう。

多少高額になってしまうかもしれませんが、従業員の健康に関わる重要なポイントのため、椅子選びも慎重に行いたいものです。


オフィス照明は目の負担にならない明るさに

パソコンを見つめている時間が長くなると、どうしても目が疲れてしまいます。しかし、原因はパソコンだけではありません。実はオフィスの照明も目を疲れやすくしてしまう原因となりえます。

それらの原因により眼精疲労などが起こると、視力の低下、慢性的な疲労、片頭痛を引き起こす可能性もあります。

実は日本では労働安全衛生法という法律によって職場における証明の明るさが定められています。


・タイピングなど精密な作業:300ルクス

・事務職などの作業:150ルクス

・荷積み・荷降ろしなどの粗な作業:70ルクス


しかし、この定められた基準はあくまで最低値のため、この基準を下回らないように目に負担のかからない明るさに調整しましょう。


オフィスに植物を取り入れる

人間は植物を見ることによって緊張状態の精神をリラックスさせ、血圧が下がって、呼吸が落ち着き、気分が良くなるということが証明されています。

つまり、オフィスに植物を取り入れることでストレス軽減の効果が期待できます。それによって従業員のモチベーションにも良い影響をもたらすことが考えられます。


植物をオフィスに置くことで次のようなメリットが期待できます。


・モチベーションの向上

・労働における満足度の向上

・生産性の向上

・欠勤時間の減少

・病欠率の減少

・不安定性の減少


植物を置くだけでこれだけの効果が期待できますので、どのオフィスでも手軽に実践できる方法となります。


従業員に健康に対する意識付けも重要

健康経営オフィスを取り入れたいといっても、経営者だけが取り組みを意識してもなかなか効果は発揮できません。

健康経営オフィスの最大の目的というのは、従業員ひとりひとりに健康を意識付けることです。


単身者は食生活や肥満を気にかける

単身者の場合、ひとりで食事をとることが多くなります。そのため食事抜きや不規則な時間の食事、手軽に食べられるコンビニの食事やジャンクフードで済ましてしまう人が多く見られます。

こういった食生活を続けていると肥満や健康状態の悪化の原因となってしまいます。

そのため、特に単身者の方には健康的な食生活を意識付けることが大事です。


デスクワークの従業員に多い腰痛

重い荷物を持つ長時間の作業より、実は長時間座っている方が腰への負担が大きいことが分かっています。

その理由は、座っている時は腰に上半身全ての体重や負荷がかかっているのです。立っている時は腰以外にも膝や股関節、足首などの間接がクッションの役割をしているため、立っている方が腰の負担が少なくなります。

つまり、長時間のデスクワークは腰痛の大きな原因になります。


このようなデスクワークによる腰痛を起こさないためには、こまめに休憩やストレッチを取り入れることが効果的です。


メンタルヘルスチェックも欠かさずに

健康状態は身体的なものばかりではなく、メンタルヘルスも欠かさずチェックしましょう。

ストレスチェック制度は、2015年12月から50人以上の労働者がいる会社に1年に1回の実施が義務付けられています。

従業員のストレスをそのままにしておくと、仕事に対してのモチベーションが減少し、業務効率が悪くなり、最悪の場合には鬱を引き起こし出勤ができなくなる可能性も考えられます。身体的な健康状態だけでなく、メンタルヘルスチェックも欠かさずに行う必要があります。


まとめ

健康経営を取り入れることは企業にとっても、働く従業員にとっても非常に大きなメリットとなります。

決して導入してすぐに結果が目に見えるわけではありません。しかし、長期的な目で見ていくと企業の安定に大きな効果をもたらすことが期待されています。


現在、日本の労働者人口は急激に減少しています。日本の明るい未来を守るために、今後ますます健康経営は企業にとって重要な取り組みとなるでしょう。



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