人材不足解消!中小企業活性化に必要な健康経営とは

多くの企業が人材不足の解消に向けて行動している現在、企業の将来的な発展に目を向けた「健康経営」への取り組みが活発になっています。


健康経営とは、従業員の健康づくりに積極的に取り組むことで、従業員のモチベーションアップや生産性・業績の向上といった、企業の活性化を狙う経営手法です。


特に中小企業では人手不足を実感しているケースが多いというデータがあることから、業務効率化による生産性の向上だけでなく、人材確保のための働きやすい職場環境づくりや、待遇の改善などにも目を向ける必要があるのかもしれません。

(出典:中小企業庁「人手不足の状況」)


本記事では、中小企業活性化の鍵となる健康経営の重要性や、導入方法などについて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.健康経営に取り組む企業が増加
  2. 2.中小企業の活性化に健康経営が必要な理由
  3. 3.健康経営の取り組み方
    1. 3.1.施策前の土台固めをする
    2. 3.2.導入する施策を検討する
    3. 3.3.認定制度を指標にする
      1. 3.3.1.認定を受けるための条件
    4. 3.4.情報収集をする
  4. 4.健康経営によって期待できる効果
    1. 4.1.求職者への訴求効果
    2. 4.2.定着率・生産性の向上効果
  5. 5.まとめ


健康経営に取り組む企業が増加

経営戦略を練るうえで「健康経営」という言葉を最近よく耳にするのではないでしょうか。

健康経営が注目されている背景には、「少子高齢化の深刻化に伴う労働者人口の減少」という社会問題が挙げられます。


日本は少子高齢化が進んでおり、労働者人口の減少は避けられない問題です。

内閣府が発表している「平成29年版高齢者社会白書」によると、総人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合は27.3%となりました。出生数も減少を続けており、2065年には年少人口(0歳から14歳)は898万人と、現在の約半数になると推計されています。

(出典:内閣府「平成29年版高齢者社会白書」)


労働者人口の減少により、多くの企業で問題となっているのが「人手不足」です。人手不足は、業務を少人数で回さなければならない状況を生み、長時間労働を慢性化させる原因となります。

ときには、長時間労働による心身の不調をきたす場合もあるため、事態の改善が必要になってきます。


そこで、改善策のひとつとして注目を集めているのが、働き方改革でも推進されている健康経営という手法です。


健康経営によるリターンは、生産性向上のほか、従業員の健康維持による医療コストの削減も挙げられます。

実際に、経済産業省の公表によると、J&Jグループが行った「健康経営に対する投資リターンの調査」では、健康経営への投資1ドルに対して3ドル分の投資リターンがあったという試算結果が発表されています。

(出典:厚生労働省「健康経営の推進について」)


そのほか、「健康経営優良法人認定制度」といった、健康経営に戦略的に取り組んでいる企業を選定する認定制度の動向も活性化しており、認定を受けることによって企業のブランディング戦略にも大きなリターンが得られるため、企業規模を問わず多くの企業が健康経営へ取り組み始めるようになっています。



中小企業の活性化に健康経営が必要な理由

ではなぜ、健康経営が中小企業活性化の鍵となるのでしょうか。


一つ目の理由は、従業員の健康をサポートすることによって生産性向上が見込まれるためです。

業種を問わず多くの中小企業で人手不足感が強いといわれていることからも、一人あたりの生産性の向上が重要となってきます。


従業員の健康をサポートすることによって、従業員の心身を良好に保ち、モチベーションアップを促進できます。その結果、生産性の向上、ひいては業績の向上へとつながります。


また、女性や高齢者の従業員が長く働ける職場環境づくりや、今いる人材を大切に扱い、離職者を防止する施策を導入することで、さらなる生産性の向上が期待できます。


二つ目の理由は、健康経営に積極的に取り組むことで、世間や外部の企業、金融機関などから高い信頼が得られるという点です。

社会的な評価を得ることによって、求職者へのアピールポイントともなります。


健康経営は企業の社会的信頼や評価を高めるだけでなく、労災といった賠償責任等のリスクの予防にもつながります。


日本の労働人口の約7割が支えているといわれている中小企業において、従業員一人ひとりの健康に配慮する健康経営は、今後ますます重要性が高くなるでしょう。



健康経営の取り組み方

では、健康経営を目指すにあたって、どのようなことから始めると良いのでしょうか。

ここでは、健康経営の取り組み方の一例を解説します。


施策前の土台固めをする

企業によって、抱える問題点が異なります。

問題を改善するためには、まず自社の組織体制や企業風土を把握することが重要なポイントになるでしょう。


たとえば、従業員のメンタルヘルス不調や体調不良が特定の部署に偏っていないか、部署によって残業時間に極端な差が出ていないか、ひとつの部署に業務が集中していないかといった具体的な調査のほか、従業員が抱えている不満・不安をヒアリングすることも、問題点を把握するための有効な手段といえます。


導入する施策を検討する

少子高齢化による人手不足問題へ対策を講じるには、今いる従業員に健康で長く働いてもらうような施策が重要となるでしょう。


業務量や労働時間に関する直接的な施策のほかにも、健康維持のためのカウンセリングや健康診断を積極的に取り入れることで、従業員の健康状態に目が行き届きやすくなります。


改正労働安全衛生法に基づいたストレスチェックが義務化されたとおり、組織全体で従業員の健康維持に意識を向ける必要性はますます高まってきています。

(※労働者数50人未満の事業場は努力義務)


そして、従業員自身にも健康管理の必要性を理解してもらうことが大切です。

従業員に対し、セミナーを通じて健康な体づくりへの正しい理解を深めてもらったり、食を通じて健康をサポートしたりするのも、健康管理への意欲を促す方法のひとつです。


そのほか、健康維持に向けた取り組みとしては、


・健康の改善が必要な従業員に保健指導を実施する

・食生活改善へ取り組む

・リフレッシュ休暇を設ける

・ジム利用制度を設ける

・メンタルヘルスへのカウンセリング制度や相談窓口を用意する

・長時間労働を解消する現実的な制度を設ける

・女性や高齢者の働き方を柔軟化する

・ハンディがある従業員が働きやすい環境づくりをする


などが挙げられます。


人間関係やコミュニケーション不足による不満に対しては、活き活きと業務に取り組めるような福利厚生制度の導入も功を奏します。たとえば、食事補助制度の導入やレクリエーション活動などが挙げられます。

コミュニケーションが円滑化すると、業務もスムーズになり、生産性向上につながるでしょう。


また、最近注目を集めている「ワークライフバランス」に向けた施策も、さまざまなライフステージに立つ従業員を抱える企業にとって効果的といえます。

ワークライフバランスでは、仕事とプライベートを相反するものと捉えたり、切り離したりせずに均衡を重視します。プライベートの充実によって仕事がはかどり、また、仕事がスムーズにいくことでプライベートも満喫できるようになるという相乗効果を図ることが目標の施策です。


認定制度を指標にする

健康経営に積極的に取り組むと、「健康経営優良法人認定制度」によって社会的評価を得られます。


健康経営優良法人認定制度とは、従業員の健康管理や増進への取り組みを「見える化」し、国から認定されることで社会的評価や企業の信頼獲得へつなげようとする制度です。


経済産業省がこの制度を2017年に開始したところ、当初認定された企業は318法人だったのに対し、3度目となる2019年には、2,503もの中小企業が健康経営優良法人として認定を受けており、健康経営に対する企業の注目度の高さがうかがえます。


健康経営優良法人として認定を受けると、従業員の健康管理や職場環境の調整を積極的に行っている企業として高く評価されるだけでなく、認証マークを自社のホームページや求人広告などに掲載できるため、ブランディングや採用活動にも有利となります。


健康経営優良法人への認定は、健康経営に取り組むうえでひとつの指標になるでしょう。


認定を受けるための条件

健康経営優良法人認定制度には、大規模の企業や法人等を対象とした「大規模法人部門」と、中規模の企業や法人等を対象とした「中小規模法人部門※」の二つの部門があります。

中小規模法人部門における法人の定義はこちら


中小企業が健康優良法人として認定を受けるには、5つの基準において一定水準を満たしていることが条件となります。


①経営理念

②組織体制

③制度・施策実行

④評価・改善

⑤法令遵守・リスクマネジメント


(出典:経済産業省「健康経営優良法人認定制度【認定基準】」)


認定されるためには、社内外へ向けた健康宣言の発信や、健康づくりを進行する担当者の選定・設置、従業員の健康管理において、重大な法令違反をしていないことなどが必須条件とされています。


情報収集をする

経済産業省から発信される他社の健康経営の事例を参考にするのも、有効な手段のひとつです。


経済産業省は、健康経営への取り組みを推進するために、健康経営優良法人認定制度の制定だけでなく、助成金制度の案内や健康経営ガイドブック、中小企業の取り組み事例集などを発信しています。自社の組織体制や企業風土と同じような企業の健康経営について情報収集することで、具体的なプランを練る際の糸口になります。


また、健康経営の活用法や実践事例などが「コラボヘルスガイドライン」にて詳しく説明されており、健康経営を考えるうえで重要な情報を得られます。



健康経営によって期待できる効果

従業員一人ひとりの生産性の向上を目指すためには、従業員が健康でいきいきと活躍できる職場環境づくりが重要です。

それでは実際に、健康経営を取り組むことによってどのような効果が期待できるのでしょうか。


求職者への訴求効果

人手不足の深刻化により、現在多くの企業が採用活動に頭を悩ませています。

求職者にとってはありがたい「売り手市場」であるため、給与面や待遇面だけでなく、働きやすい環境の整備も重要になってきます。


実際、経済産業省が2016年度の就活生に実施した「どのような企業に就職したいか」というアンケート調査では、給与水準の高さや業績の安定を選んだ人は全体の約2割だったのに対し、福利厚生の充実や従業員の健康・働き方への配慮を選んだ人は約4割を占める結果となりました。


(出典:経済産業省「健康経営の推進について」)


売り手市場がますます加速していく現代では、従業員の健康維持や増進に配慮した健康経営への取り組みは、人材確保の面で大きなメリットとなります。他社と差別化できるような独自の施策があると、求職者により魅力的な企業として映るでしょう。


定着率・生産性の向上効果

経済産業省が実施した「健康経営優良法人に認定されたことで得られる効果」についてのアンケート調査では、大規模・中小規模法人部門ともに「企業イメージの向上」「従業員満足度、モチベーションの向上」「時間外労働の減少」「社内コミュニケーションの活性化」などが上位を占めました。


(参照:経済産業省「健康経営の推進について」)


これらの効果は、企業の採用活動に大きなメリットになるだけでなく、従業員からの信頼の向上にもつながります。働きやすい職場環境を提供することによって、心身ともに健康な従業員が増え、生産性と定着率の向上につながるといえるでしょう。



まとめ

人手不足に悩む中小企業の活性化に向けて、従業員が健康で長く働ける環境づくりが重要な課題となっています。


健康経営を実現させるためには、従業員へ健康維持の重要性を認識してもらい、企業全体で前向きに取り組む姿勢が大切です。


戦略的に情報収集をし、健康経営に向けた具体的な施策の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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