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そもそも福利厚生とは?福利厚生の概要や導入前の準備をわかりやすく解説

従業員の満足度を向上するために、企業として検討したいのが福利厚生の充実です。

福利厚生によるサポートは、従業員のワークライフバランスを実現すること、そして働きやすい職場環境づくりにも役立てられます。職場環境改善のためにも導入したい制度です。

しかし、そもそも福利厚生とはどのような施策なのでしょうか?
本記事では、福利厚生の概要や導入する際のポイントについて解説します。

目次[非表示]

  1. 1.福利厚生とは
    1. 1.1.福利厚生のはじまり
    2. 1.2.福利厚生と手当の違い
  2. 2.法定外福利の分類
    1. 2.1.①休暇制度
    2. 2.2.②育児・介護関連
    3. 2.3.③健康・医療関連
    4. 2.4.④通勤・住宅関連
    5. 2.5.⑤慶弔関連
    6. 2.6.⑥財政形成関連
    7. 2.7.⑦自己啓発・スキルアップ関連
    8. 2.8.⑧職場環境関連
    9. 2.9.⑨レクリエーション関連
  3. 3.福利厚生を導入する前に
    1. 3.1.課題例1:コミュニケーションロス
    2. 3.2.課題例2:従業員の健康不安
    3. 3.3.課題例3:ライフステージを理由とした退職者の増加
  4. 4.福利厚生費について
  5. 5.福利厚生の課題
  6. 6.まとめ

福利厚生とは

福利厚生とは、従業員やその家族に対して、企業が賃金のほかに提供する支援やサービスのことを指します。

従業員への経済支援や健康サポート、生活の充実・向上を目的としており、具体的な取り組み内容は企業によってさまざまです。

多くの企業が福利厚生を導入していますが、これらの福利厚生はいつから導入され始めた制度なのでしょうか。


福利厚生のはじまり

福利厚生が始まったのは、明治時代頃といわれています。

当時の国内では西洋文化を積極的に取り入れ、産業や文化などの近代化が進み、産業発展に向けた鉱山や工場の相次ぐ設立がありました。

そのようななか、多くの労働力を確保し、長く働いてもらうために行った施策が福利厚生の始まりとされています。


当時の福利厚生は、法律で定められた制度ではありませんでしたが、従業員への食事補助や住居の提供など衣食住にまつわる制度をはじめとする生活面の支援が行われていました。


時代が進み、大正時代頃になると、さらなる労働環境の改善を目的として、福利厚生がより重視されるようになりました。

よりよい職場環境を構築しようという企業が、“年金”や“退職手当”などの制度を取り入れ始め、こうした動きが活発になったことによって、福利厚生制度化への必要性が高まったとされています。
1922年に健康保険法が作られたことからも、企業だけではなく政府も積極的に社会保障を考えはじめた時期だと推測できます。


1980年代のいわゆるバブル期を迎えて経済が好況になると、福利厚生の特徴に変化が訪れます。大企業を中心に、社員住宅や保養所などの自社施設を保有し、従業員へ提供する制度が大きな需要を占めるようになっていきます。しかし、それらの制度は、バブル期の終わりとともに縮小していきました。


こういった歴史を振り返ると、時代や労働環境の変化とともに、福利厚生も変化していったことがわかります。


現代の福利厚生は、人に対する制度へと推移していき、従業員のプライベートの充実やスキルアップなどを目的とした福利厚生が主流になっています。求職者や従業員から選ばれる企業になるためにも、時代の変化に対応した福利厚生の導入を検討する必要があるでしょう。


福利厚生と手当の違い

企業の制度には、“家族手当”や“役職手当”のような手当を支給する制度があります。
福利厚生と、これら手当の支給は似て非なるもののため、導入前に違いを押さえておきましょう。


福利厚生には、法律で定められた“法定福利厚生”と、企業が任意で導入できる“法定外福利厚生”の2種類あります。

法律で義務化されているものとそうでないものという違いはあるものの、役職や職務内容、経歴などに関わらず、“すべての従業員が平等に利用できる”という点は共通しています。


一方、手当とは、あらかじめ社内で決定した“条件に当てはまる従業員のみ”に支給する制度を指します。

たとえば役職手当の場合は、特定の役職に就いている従業員に対して支給する制度となり、そのほかの従業員は対象外となるため、法定外福利厚生ではなく手当という扱いになります。

制度を導入するにあたって、特定の従業員に適用するのか、全体に適用するのかでコストが大きく異なります。法定外福利厚生を考える際は、手当との線引きが大切です。


法定外福利の分類

法定外福利厚生の種類はとても幅が広く、大きく9つに分類されます。

9つそれぞれの導入目的と、制度の具体例を紹介します。


①休暇制度

休暇制度は、法定休日とは別途、従業員が使える特別休暇の制度です。取り入れられることの多い代表的な休暇制度は以下が挙げられます。


・バースデー休暇
・リフレッシュ休暇
・ボランティア休暇


従業員にとって休暇制度は、プライベートを充実させたり、心身の回復を促進させたりというメリットがあります。

そして、それらメリットを提供することによって、従業員のモチベーション向上や健康管理が期待できます。


②育児・介護関連

法律で定められている産休・育児休暇などに加えて、育児・介護のための休暇付与や必要な費用を企業が一部負担するという制度です。

育児・介護関連の代表的な制度には、以下が挙げられます。


・育児休暇の延長
・介護休暇
・託児所の提供
・ベビーシッターやデイサービス費用の補助


共働き世帯が増加している現代では、育児・介護を仕事と両立できる福利厚生は需要が多く、従業員のライフステージを支えることを目的に導入される制度です。


③健康・医療関連

法律で実施を義務付けられている健康診断以外にも、健康・医療関連では以下のような制度があります。


・法定外健康診断の実施
・がん検診の実施
・人間ドックの費用補助
・ストレスチェックの実施
・ジム利用料金の補助


医療費の補助だけでなく、健康診断や療養を目的とした休暇を設ける企業もあります。従業員の健康管理は企業の労働力確保においても欠かせません。健康経営の一環として導入を検討するのもいいでしょう。


④通勤・住宅関連

従業員への生活支援に直結する、通勤や住宅に関する制度です。


・通勤手当(交通機関利用料金・ガソリン代など)
・無料駐車場の完備
・家賃補助
・住宅ローンの一部補助


通勤や住宅関連の制度は、従業員の経済的な安定を支援して、長く働きやすい職場環境を作ることを目的としています。従業員の生活に大きく影響する制度のため、導入することで従業員満足度の向上が期待できます。


⑤慶弔関連

結婚や出産などのお祝い事に祝い金を給付したり、身内に不幸があった場合に見舞金や休暇を付与する福利厚生制度です。代表例は以下が挙げられます。


・出産祝い金
・子どもの入学祝い金
・死亡見舞金
・慶弔関連休暇


企業への信頼や安心につながることから、労使関係の安定化や職場への定着を目的に導入されることの多い制度です。


⑥財政形成関連

国が定める財形制度のほかにも、企業が独自で行っている財産形成制度があります。


・生命保険の加入
・財形住宅貯蓄
・社内貸付制度
・年金貯蓄


従業員は無理なく財産形成ができるほか、さまざまな融資が受けられるというメリットがあります。企業にとっては、従業員の満足度向上により、優秀な人材の確保や定着に役立てられます。


⑦自己啓発・スキルアップ関連

従業員の自己啓発やスキルアップに関して、企業が支援する制度です。


・セミナー参加費用の補助
・海外研修制度
・資格の受講費用補助
・書籍の購入費用補助


こういった制度の導入により、従業員のスキルアップや優秀な人材育成に役立てられます。


⑧職場環境関連

働きやすい職場環境を作るために導入される制度です。


・社員食堂の設置
・冷蔵庫の設置や宅配による食事補助
・休憩室や仮眠室の設置
・リフレッシュルームの設置


食事関連のサポートは従業員の健康管理に役立てられるほか、休憩室やリフレッシュルームなどの設置はモチベーションの向上につながります。


⑨レクリエーション関連

レクリエーション活動にかかる費用を負担するという福利厚生制度です。
レクリエーション関連では、たとえば、


・新年会や忘年会費用の支給
・バスツアーの開催
・スポーツ大会の開催


のような制度が挙げられます。

職場のコミュニケーション活性化やモチベーション向上を目的として導入されることが多いです。


福利厚生を導入する前に

上述のとおり、現代の法定外福利厚生は、あらゆる角度から従業員をサポートできるように、多種多様な制度を設け、発展を続けています。

福利厚生の内容は企業によってさまざまですが、導入するにあたって、自社の課題を把握し、その解消につながる制度を選ぶことが重要になってきます。


ここからは3つの課題例を基に、それぞれの解消案を紹介します。


課題例1:コミュニケーションロス

社員数の増加や部署の細分化、フレックスタイム制によるすれ違いなどにより、社内のコミュニケーションが取りづらくなる場合があります。


コミュニケーションロスは、「連携業務をスムーズに行えない」「会議を活発に行えない」などの原因になりかねません。業務を効率よく円滑に行うためにも、従業員同士のコミュニケーション促進を図りましょう。


効果的な制度は、レクリエーションの実施や社員旅行などが挙げられます。仕事以外の場所でコミュニケーションが取れる機会を設けることで、職場の雰囲気の改善も期待できます。


課題例2:従業員の健康不安

従業員の健康状態は業務にも影響があります。

健康管理が不充分な場合、体調を崩しやすかったり、メンタルヘルスの不調といったリスクが高まるため、企業が積極的に従業員の健康管理をサポートすることが重要です。


残業削減をはじめとする労働環境改善のほか、健康促進に向けたランチサービスや栄養ドリンクの提供なども有効な手段のひとつです。


課題例3:ライフステージを理由とした退職者の増加

女性従業員は、出産や育児などを理由に退職してしまうケースがあります。

ライフステージに左右されず長く働いてもらうためには、法定内の産休・育休に加えて、延長休暇や手当制度を設けるなど、制度の見直しも必要になってくるでしょう。


そのほか、1時間単位で取得できる有給休暇制度や、テレワークの導入も効果的です。従業員それぞれのライフステージに合わせた働き方ができる福利厚生を検討しましょう。


福利厚生費について

福利厚生の導入にあたっては、コストがともないます。

福利厚生の費用は、企業で負担が義務付けられている法定福利費と、それ以外の法定外福利費の2つで構成されています。

法定福利費には、厚生年金や健康保険、雇用保険などが挙げられ、保険料は従業員の負担割合に応じて企業が負担する必要があります。


また、法定外福利費については、上述の住宅手当や交通費などが挙げられ、負担額は企業が一定の要件を定めるものとなります。


法定福利費は法定福利費の勘定科目として経費計上できますが、法定外福利費にはそれぞれ細かな要件が定められているため、経費計上するには以下の要件を満たしている必要があります。


・従業員が平等に利用できること
・常識の範囲で妥当な金額であること


一部の従業員しか利用できない制度は、福利厚生費として経費計上することができません。また、法定外福利費には金額の上限が定められていないものもあります。出張費や慶弔見舞金などは法律上の上限金額が決められていませんが、社会的に常識の範囲内であれば経費計上が可能となります。法定外福利厚生を導入する際は、対象条件や金額の上限設定に注意する必要があります。


福利厚生の課題

従業員満足度の向上や職場環境の改善を目的とした福利厚生が増えている一方で、企業規模によって福利厚生の内容に差が出てしまうという課題もあります。福利厚生の導入・運営にはコストがかかるため、福利厚生を充実させることはむずかしいというのが実状です。


そのような課題を解消する手段として、厚生労働省では、“中小企業勤労者福祉サービスセンター”というサポート団体を紹介しています。


中小企業勤労者福祉サービスセンターとは、単独では福利厚生の増進が難しい中小企業に対して、地域の中小企業勤労者と事業主が共同して福利厚生サービスを実施できる市区町村単位の団体です。


市区町村の助成を得ることにより、少ない経費負担で充実した福利厚生が図れることが最大のメリットです。運営コストを充分に確保できない企業や、自社の事務負担を増やせない企業においても大きな助けとなるでしょう。


福利厚生の導入にあたって、こういったサポートの利用を検討するのもひとつの方法ではないでしょうか。


まとめ

福利厚生は、時代とともに内容やニーズが変化していることがわかりました。

多様化する働き方、そしてワークライフバランスの実現を目指す現代に即するように、定期的な福利厚生の見直しや最適化は不可欠です。


充実した福利厚生の導入によって、定着率や生産性の向上効果が期待できます。
まずは自社の課題を洗い出すとともに、課題の解消につながるような福利厚生の導入を考えてみてはいかがでしょうか。


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